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| シャープが2001年から展開している液晶カラーテレビ「AQUOS(アクオス)シリーズ」の新製品5機種には、ルネサスの液晶テレビ用LSI「DVP-M(Digital Video Processor-Multi)シリーズ」が採用され、これまで複数のチップに分散されていた映像処理機能が1チップに集積された。1チップ化により基板サイズの縮小や不要輻射対策が図れたほか、DVP-Mシリーズを採用したことで、基板や画質調整技術の横展開が可能になり、新製品開発に要する時間と手間の大幅な削減をもたらした。 |
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小林 冬記氏
Kobayashi Fuyuki
シャープ株式会社
AVシステム事業本部
映像デジタルシステム事業部
第1技術部 副参事
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柴田 健氏
Shibata Takeshi
シャープ株式会社
AVシステム事業本部
映像デジタルシステム事業部
第1技術部 係長
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PROFILE
シャープ株式会社
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本社:
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〒545-8522
大阪市阿倍野区長池町22番22号 |
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代表者:
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代表取締役社長 町田 勝彦 |
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創業:
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1912年 |
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設立:
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1935年5月 |
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資本金:
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204,675百万円(2004年9月30日現在) |
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売上高:
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単独1,804,907百万円/
連結2,257,273百万円(2003年度) |
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従業員数:
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単体23,000名/
連結47,100名(単体社員数を含む)/
グループ総人員55,000名
(国内30,800名、海外24,200名)
(2004年9月30日現在) |
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URL:
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http://www.sharp.co.jp/ |
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| 複数のLSIで構成していた映像処理機能を1チップ化 |
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シャープでは、液晶パネルを自社製造し、長年培ってきた「絵」創りのノウハウを盛り込むなど、こだわりのある液晶テレビを開発してきた。
2001年1月から展開している「AQUOSシリーズ」は、“21世紀のテレビ”と位置付けているもので、2005年1月には累計生産数が500万台を突破するなど、液晶テレビ市場をリードするブランドへと成長させている。現在、最大45インチから13インチまで30品種を超える幅広い製品を発売しており、まさしく「液晶テレビのシャープ」というイメージそのままの快進撃を続けている。新技術への取り組みにも意欲的で、世界最大級となる6 5 インチの「ハイビジョンAQUOS」も開発するなど、液晶テレビの可能性を拡大し続けている。
このラインアップの豊富さは「A Q U O Sシリーズ」の大きな魅力といえるだろう。「複数の画面サイズやバラエティに富んだ付加機能を搭載した製品をシリーズで開発しており、AVシステム事業本部全体で年間100機種以上の新製品を開発しています」(小林氏)。 |
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そんな「AQUOSシリーズ」のなかで、2004年12月から2005年2月にかけて相次いで登場した新製品には、ルネサスの液晶テレビ用LSI「DVP-Mシリーズ」のDVP-MおよびDVP-MLが採用された。20インチ画面の「LC-20C7」(写真1)および22インチワイド画面の「LC22AA5」にはDVP-M、15インチ画面のLC-15C7、20インチ画面のLC-20S4(写真2)、15インチ画面のLC15S4、13インチ画面のLC-13S4にはDVP-MLが搭載されている。「テレビとしての画質向上にこだわりながら、毎年30%近くにおよぶコストダウンへの要求に応えていくためには、主要なLSIの集積化や高性能化が必須となります。DVP-MやDVP-MLは、いままで複数のLSIで構成していた映像処理機能を1チップに集積しており、コストダウンばかりでなく、開発効率や信頼性向上も図れることから採用に踏み切りました」(小林氏)。
1チップ化による基板サイズの縮小は、製造コストの圧縮に直接反映される以外にも、追加機能を搭載するスペースを確保し、スリムさが売りの液晶テレビそのものの外観デザイン性の向上や、端子位置の自由な配置を可能にするなど、さまざまな効果を生む。「フラットテレビの魅力は、なんといってもその薄さにあります。薄さを追求すると、特に画面サイズが小さいタイプで、さまざまな端子を使い勝手よく配置するのが困難になってきます。また、デジタル化など、新しいニーズへの対応が基板サイズの縮小によって実現できるようになります。」(柴田氏)。 |
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写真1:ハイクオリティサウンド C7シリーズ。手前がLC-20C7
LC-20C7は、ASV方式低反射ブラックTFT液晶パネルを採用したアスペクト比4対3の液晶テレビ。業界最高水準となる500cd/m2の輝度を実現しており、より明るい映像再現が可能となっている。デジタル放送で放送番組が画面の真中に4対3で小さく表示されることがある問題に対応するため、ワンタッチで画面一杯に拡大できる「画面拡大」ボタンをリモコンに装備し、会話と音楽を自動判別しアナウンサーの声を聞き取りやすくする「いきいきボイス」機能をはじめて搭載するなど、使い勝手の向上が図られている。
また、文字などのチラツキを抑えて動画も高精細に楽しめる「3次元動き適応型I/P変換回路」、チラツキの原因となる色にじみやカラーノイズを低減する「高精度3次元デジタルY/C分離回路」を搭載しているほか、スピーカーシステムには低域特性に優れたバスレフ構造の左右独立スピーカーボックスが採用されている。
このLC-20C7には、cFFDや3次元処理のY/C分離回路、ノイズリダクション回路、IP変換機能を搭載したDVP-Mが採用された。 |
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写真2:スマート&コンパクト S4シリーズ。一番奥がLC-20S4
LC-20S4は、アンダースピーカータイプのコンパクトデザインの液晶テレビ。業界最高水準となる500cd/m2の画面輝度をもち、より明るい映像再現が可能となっている。プログレッシブ信号に対応しており、高画質映像とデジタル放送の4:3映像に便利な画面拡大機能も搭載されている。
また、バックライト寿命6万時間、明るさセンサー機能の採用など超寿命・省エネ設計となっている。D2映像入力端子1系統のほかに、ビデオ入力2系統(内1系統はS映像入力)も搭載しており、さまざまな機器とのセットアップも可能となっている。
このLC-20S4には、DVP-MLシリーズが採用された。 |
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| ピン配置の互換により同じ基板の使用が可能に |
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DVP-Mシリーズは、世界で初めてY/C分離回路やノイズリダクション回路、IP(Interlace-Progressive)変換、クローズドキャプションやテレテキストなどのデータスライサ機能に加え、液晶動画応答性を改善するc FFD(CompressionFeed-Forward Driving:DVP-M のみ搭載)、カラーマネージメントを行うNCM(Natural ColorMatrix) や、制御信号のTCON(タイミングコントローラ) のような液晶パネルの信号処理機能など、多岐にわたる液晶テレビの主要機能を1チップ化したLSIである(写真3)。
DVP-M、DVP-ML、DVP-MT の3タイプからなり、DVP-ML、DVP-MT はY/C 分離回路、ノイズリダクション回路、IP変換の2次元処理の機能を内蔵し、DVP-Mシリーズでは同機能を3次元処理する。また、DVP-MおよびDVP-MTには、ルネサスが得意とするSIP(Solution Integration Product) 技術によって、それぞれ64Mビット、16MビットのDRAMも搭載した(図)。
こういった液晶テレビの主要な機能は、従来6つ以上のLSIで構成していたが、DVP-Mシリーズを採用した場合、1 チップで実現できた。「これだけの機能を集積できたことから、基板そのものも小さくなり、外付けメモリも削減できたため、レイヤ数も少なくできました」(小林氏)。加えて、LSI数の削減は、基板設計で設計者を悩ませる不要輻射対策にも大きな効果がある。「多くの時間を費やした不要輻射対策をほとんどすることなく、要求仕様をクリアできました」(柴田氏)。 |
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また、DVP-Mシリーズではピン配置が完全互換となっており、さらにDVP-Mの機能はDVP-MLおよびDVP-MTに対して上位互換を維持している。「ピン配置互換なので、13インチから20インチまで同じ基板を使用することができました。通常、基板開発には1カ月ほど必要となりますが、DVP-Mシリーズ間では同じ基板を流用できることから、AQUOS全体の開発効率を大幅に向上させ、短期間で豊富なラインアップを揃えることができました」(小林氏)。
これにより、画質や信頼性の向上、生産工程の効率化など、少ない開発期間のなかでより多くの検討を行う時間が確保でき、結果として品質向上や不良率低減といった大きな効果を得ることができたという。
さらに、DVP-MシリーズにはOSD(OnScreen Display)機能も搭載されていることから、OSD機能を持ったマイコンを使用する必要がなくなり、マイコンの選択肢も拡げることができた。 |
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| 図:DVP-Mを採用した場合の液晶用信号処理回路 |
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| 約700ものレジスタを設定しこだわりの「絵」創りに対応 |
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DVP-Mシリーズのように液晶テレビの主要な機能を1チップに搭載できると、前述のようにセットメーカーにとって多くのメリットを享受できるようになる。その反面、「映像処理」という、テレビにとっては肝となる機能がどんどんブラックボックス化してしまうという懸念をもつかも知れない。「その点で、DVP-Mシリーズは約700にわたる非常に多くのレジスタをもっており、きめ細かな設定が可能となっていました。それによって、シャープがこだわる『絵』を徹底的に追求することができました」(柴田氏)。
レジスタのレイアウト値の設定はすべてソフトウエアで行うため、そこにシャープならではの「絵」創りに対するノウハウを詰め込み、製品に反映させることができる。つまり、同じDVP-Mシリーズを採用しても、レジスタの設定によって全く異なる画質を持った液晶テレビを作り上げることが可能になっている。「通常、この『絵』創りについては、ある程度のところまではスムーズに行くのですが、最後の詰めという部分でいつも多くの工数を取られており、ぎりぎりまで多くのエンジニアが張り付いて仕上げています。画面サイズが変われば、多くの部分で新規の設定が必要となりますが、DVP-Mシリーズで横展開しているとアプローチの仕方などが予め分かっていることから、効率的に作業を進められました」(柴田氏)。 |
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レジスタの設定はアプリケーションから行えるようにしているが、詰めの部分のチューニングなどについては、デバイスドライバのレベルにまで踏み込んで行うことも多い。そういったチップに近い部分については、ルネサスの応用技術分野を担当するルネサス ソリューションズから多くの技術サポートを得られたという。「DVP-Mシリーズはハードウエアとソフトウエアの切り分けが非常によくできており、その性能を引き出すにはデバイスドライバを使い切ることがポイントとなります。そういった面から、チップを熟知しているルネサス ソリューションズからのサポートを得られ、たいへん助かりました」(小林氏)。
今後は、DVP-Mシリーズのソフトウエア資産や、獲得したノウハウを活かす方向で、次期機種への採用などを検討していきたいという。また、ルネサスに対しては、液晶TVに必要な機能のさらなる集積化や、地上デジタル放送対応のソリューションに期待しているとのこと。DVP-Mシリーズとともにルネサスへの期待の大きさを感じることができた。 |
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